行雲流水 〜お気に召すまま〜

好きなことを好きなように好きなときに書くブログです。

平和への願いを込めて

先日古本屋さんで購入した、世界国旗博学クラブ『国旗大好き!』(PHP研究所)を読み終わりました。

 

社会とか地理の授業で国旗を目にすることはあっても、その国旗がどうやってできたのか、色の意味とかはなかなか知る機会がなかったので、良い勉強になりました。

 

多数の民族が暮らしている国では特定の民族色に偏らないようにしたり、多数の宗教が入り交じる国では他宗教にも配慮して作成されたりと、国旗ひとつ作るのにもものすごい努力があって、本当に涙ぐましいほどの「平和」への想いが込められているんだなと感じました。

 

意外だなぁと思ったのは、カナダの国旗。

 

カナダ国旗といえば、真ん中に真っ赤なカエデが大きくデザインされているのが特徴的ですね。カエデの下地は白色、両隣は赤色で塗られています。

 

赤に「血」の意味を持たせている国旗は多いですが、カナダの場合は「中央の白い部分は広大な国土と国の発展を表す。左右の赤が表す大西洋と太平洋、両大海に挟まれた様子を表現している」とのことです。

 

赤が海を表すって、すごく珍しいですよね。


他にも、「赤は第一次世界大戦で犠牲となった兵士の血を表す」ともされているようです。

 

二つの意味を持たせているということで私が率直に感じたことは、カナダにとっての赤は「流された血によってできた海」を意味しているのかなと。
こう言うとむごたらしいですが・・・しかし、戦争によって世界が血の海になってしまう悲劇を二度と繰り返さないために、この国旗に強いメッセージを込めたのではないかと私には思えます。

 

もう一つ意外だったのは、国旗に描かれている円が満月を表す国があること。

 

日本とバングラデシュの国旗の円は太陽を表すし、アルゼンチンやマラウィの国旗にはわかりやすく太陽が描かれていますが、ラオスパラオの国旗に描かれている円は満月を描いているそうです。

 

太陽は「生命力」「夜明け」「希望」「自由」など躍動感あふれるイメージを持たせている国が多いのに対し、ラオス国旗の黄色い満月は「愛と平和の象徴」、パラオ国旗の白丸(満月)は「共産主義による国の統一を象徴している」とのことでどちらかというと穏やかな印象があって、太陽と満月の対比がすごく面白かったです。

 

そういえば、日本とバングラデシュパラオの国旗って、使われている色は違っているけどデザイン自体はほぼ一緒なんですよね。

 

インドネシアモナコの国旗も、見た目はもうほぼ一緒。というか、国旗の比率が違うだけであとは色もデザインもまったく一緒です。

 

しかし、国旗に対する愛着は両国で違っていて、モナコでは色使いとかデザインに特に深い意味は持たせていないのに対し、インドネシアでは植民地支配からの独立運動などの際に旗印になった国旗だそうです。

 

インドネシアに限らず、抑圧からの「自由」や「平和」を勝ち取るために掲げられた国旗には、その土地に生きる人びとの苦悩や闘いの歴史が刻まれているんですね。

 

そう考えると、本当に国旗って深いです。

 

この本は冒頭から数ページにわたって国旗がカラー付きで紹介されているので、世界の国々がどんな国旗を使っているか知りたい方にはオススメです。

 

本書では93ヵ国が紹介されていて、もちろんこれはすべての国の数ではないのですが十分に楽しめる読み物になっています。

 

国旗に興味のある方はぜひ一読を。