行雲流水 〜お気に召すまま〜

好きなことを好きなように好きなときに書くブログです。

読書記録:2021年7月

吉村葉子、宇田川悟『パリ20区物語』(講談社
関谷英里子『同時通訳者の頭の中』(祥伝社
アーサー・コナン・ドイル『緋色の研究』(東京創元社
百波秋丸『三ツ星商事グルメ課のうまい話』(KADOKAWA
エリオット・ヘスター『地獄の世界一周ツアー』(文藝春秋
雪乃紗衣『レアリアⅠ』(新潮社)
雪乃紗衣『レアリアⅡ 仮面の皇子』(新潮社)
松田公太『すべては一杯のコーヒーから』(新潮社)
浅田次郎『王妃の館<上>』(集英社
浅田次郎『王妃の館<下>』(集英社

 

計10冊。

 

7月は普段の読書量からするとかなりペースダウンしました。

 

いろいろバタバタしてて一週間くらい読書ができなかったり、本当はブログ書いたりとかもしたいのに休日さえも何もしたくない日もあって、なかなかにしんどい一ヶ月でした・・・。

 

今後もまだしばらくはそんな日が続きそうです。

 

では、7月に読んだ本の中から感想をいくつか。

 

アーサー・コナン・ドイル『緋色の研究』(東京創元社

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シャーロック・ホームズが初めて登場する、シリーズ第一作です。

 

シャーロック・ホームズと聞けば本を読まなくても名前くらいは聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか。

 

某漫画にも「平成のシャーロック・ホームズ」を目指すという高校生探偵が出てきますし、『名探偵ホームズ』という擬人化された犬によるアニメも放送されました。

 

私もこういった作品は観ていたものの、推理小説自体はこれまで読むことなく今まで生きてきました。

 

どうにも推理小説は暗くて退屈、というイメージがずっとあったのです。

 

しかしある日、古本屋さんでふと『緋色の研究』が目に入ったとき、読書好きたるもの、食わず嫌いは良くないよなと思いまして。

 

そのまま購入し、恐る恐る読み始めたところ・・・・・私がそれまで推理小説に対して抱いていたイメージは見事に裏切られました。

 

殺人事件を軸に話が進んでいくことが「推理小説は暗くて退屈」というイメージと結びついてしまうのだと思いますが、ワトスンの回想録という形式で進んでいくストーリーや、犯人に秘められた哀しい過去が紐解かれていくうちに、いつの間にか時間も忘れて夢中になっていました。

 

あと、やたら難しい言い回しとか出てくるんだろなと勝手に思ってたけど、実際はそんなこともなくてとても読みやすかったです。

 

誰が犯人なのか、なぜ犯行に至ったのか。

 

読者にも「誰」「なぜ」を考えさせるという点、そしてまた小説の中の答えと自分の推理が一致したときに得られる爽快感が、読者を惹きつけるんだろうなと思います。

 

某高校生探偵がシャーロック・ホームズに心酔するのも納得できる気がしました(笑)

 

私自身は、この本の中で起きた事件の犯人に対し、彼の持つ過去の出来事については同情するところも多くありました。

 

でもだからといって、殺人を犯してもいい理由にはならないですよね・・・。

 

どんなに辛いことがあろうとも、相手を殺したいほど憎んでいても・・・殺人という罪を犯してしまったら、自分の人生もそこから大きく変わってしまうのですから。

 

犯罪者側の心理という点でも、非常に考えさせられる小説でした。

 

雪乃紗衣『レアリアⅠ』(新潮社)
雪乃紗衣『レアリアⅡ 仮面の皇子』(新潮社)

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表紙からして私の大好物です(笑)

 

舞台は、帝国と王朝が長年争う世界。

 

魔女家名代として帝都に向かう17歳のミレディア、かつてミレディアが出会い愛するようになった謎の美青年アキ、帝国皇帝候補の二人の仮面の皇子アリルとラムザ

 

もうこれだけで私の心をくすぐるには十分です(笑)

 

物語自体は、帝国と王朝という二つの大国による政治争いの色がとても強いです。

 

そこにさらに魔女家や法皇家が複雑に絡んでくるので、一度読んだだけではなかなか内容の理解が追いつかないのが正直なところですね。

 

17歳のミレディアは、12歳の仮面の皇子アリルに嫁ぐことになるわけですが、このアリル皇子は重大な秘密を抱えています。

 

これがまたとても切ない・・・。

 

ミレディアとアリル皇子の二人が結婚してから少しずつ少しずつ距離を縮めていくところは微笑ましくもあるものの、その時間が永遠に続くわけではないことをミレディアは悟っています。

 

アリル皇子の誕生日が近くなり、今まで誕生日なんて祝ってもらったことのないアリル皇子がたった一つ、ミレディアに望んだことがあります。

 

《僕からあなたに、
 誕生日の贈りものを望んでもいいのなら。
 当日、披露目が終わった後の全部。
 あなたの時間を僕にください。――アリル》

引用元:雪乃紗衣『レアリアⅡ 仮面の皇子』(新潮社)、414ページ

 

ここで私の涙腺は崩壊しました。アリル皇子・・・・・・切なすぎる・・・。

 

続きがとっても気になって先日購入したので、これはまた折りを見て読もうと思います。

 

ちなみに、著者・雪乃紗衣は、『彩雲国物語』シリーズの作者としても知られています。

 

もう間違いなく私の大好物の内容でありながら実は今まで読んだことがないという・・・。

 

図書館に並んでいるのを先日見つけたので、こちらもゆっくり時間ができたときに一気読みしようと画策中です。