読書記録:2021年4月
ロベール・サバティエ『ラバ通りの人びと』(福音館書店)
ロベール・サバティエ『三つのミント・キャンディー』(福音館書店)
ロベール・サバティエ『ソーグのひと夏』(福音館書店)
本田宗一郎『本田宗一郎 夢を力に』(日本経済新聞出版社)
伊藤ユキ子『お茶からお茶へ、旅から旅へ』(新潮社)
リザ・テツナー『黒い兄弟(上)』(あすなろ書房)
リザ・テツナー『黒い兄弟(下)』(あすなろ書房)
藤本義一、丹波元『大阪人と日本人』(PHP研究所)
シヴォーン・ダウド『サラスの旅』(ゴブリン書房)
日本博識研究所『知らなかった!衝撃のアニメ雑学』(宝島社)
吉本ばなな『キッチン』(KADOKAWA)
小池幸子『帝国ホテル流おもてなしの心』(朝日新聞出版)
ジャン・クロード・ムルルヴァ『旅するヤギはバラードを歌う』(早川書房)
藤本ひとみ『マリー・アントワネットの娘』(中央公論新社)
ジェームズ・リオーダン『大地のランナー ――自由へのマラソン』(鈴木出版)
石井好子『いつも異国の空の下』(河出書房新社)
ベン・マイケルセン『コービーの海』(鈴木出版)
斎藤茂太『時間の使い方のうまい人・へたな人』(三笠書房)
杉浦さやか『ベトナムで見つけた』(祥伝社)
小川洋子『科学の扉をノックする』(集英社)
カテリーネ・アルフライ『イルカの夏』(岩波書店)
計21冊。
4月は自分としてはかなりハイペースでした。すごく内容が面白い本ばかりだったので、さくさく読み進められたのもあるかもしれません。
そして4月から、「読書感想」というかたちで丸々ブログ一回分使って読んだ本の紹介を始めてみました。しかし全然うまく書けないですね。本当に難しい・・・。
内容紹介はただ本当に内容を列挙しているだけだし、感想にしても読み返してみて実は全然感想になっていなかったり。
読書とか映画とかレビューされている方のブログを読ませていただくと、長くなりすぎず、それでいてネタバレすることなく紹介していて、きちんと自分の意見も交えていたりして、ほんとすごいなと思います。
やはり、ブログというのは日々学びですね。いろいろ改善しながら私も頑張ります。
ということで、4月に読んだ本の中から感想を少々。
今回読んだ本は全部紹介したいくらいどれも素晴らしいのですが、キリがないので一部だけ・・・。
本田宗一郎『本田宗一郎 夢を力に』(日本経済新聞出版社)
「世界のホンダ」をたった一代でつくりあげた、日本が誇るビジネス界のスーパースター本田宗一郎が綴る回想録です。
機械いじりが大好きな少年は、いかにして「世界のホンダ」にまで上り詰めたのか。人の縁を大切にする心、運をも味方につける才能、そして何より夢を「夢」で終わらせない努力と行動――。
これらのことが、本田宗一郎その人自身の言葉で綴られています。
本田宗一郎は、その当時の時代を生きた人間としてはかなり先進的な考えをもっていたように思います。それを述べた部分を、下記に引用させていただきます。
おふくろはカスリの着物の上に、新しい青い色の帯をしめてくれた。私は得意になって学校へ行ったが、実はそれは母の帯だった。仲間はそれと知って「やーい、お前の帯は女の帯だ」とさんざん私をいじめた。私は泣いて家に帰った。そのとき以来、私は考えた。色に男の色と女の色の区別があるのはおかしい。人間は自分の個性でいくべきで、色とか、格好とかに左右されるべきではない。人に不愉快感を与えたり、めいわくをかけるようでは困るが、着物や色は本来自由であるべきだと思った。
この考えがあったからこそ、本田宗一郎自身も、自分の工場で働く女性たちをとても大切にしていました。
そしてこれは、今現在も問題になっていることでもありますよね。
「男の子だから」黒いランドセル、「女の子だから」赤いランドセル、男が黄色やピンクが好きなのはおかしい、男がスカートを履くのはおかしい、女性は「女性らしい」華やかな格好をすべき、男のくせに、女のくせに、etc。
数え上げればキリがないですが、こうした現代にも通じるような考えをこの頃からすでに持っていたんだと思うと、偉大な人はやはり考えも偉大なんだなぁと思わずにはいられません。
そんな本田宗一郎の生き方、考え方に興味のある方は、ぜひ一読を。
小川洋子『科学の扉をノックする』(集英社)
『博士の愛した数式』(新潮社)の作者としても有名な著者が、それぞれ違った7つの分野で研究を行っている人物との対話を通し、科学の不思議さ偉大さに迫ります。
7つの分野とは、宇宙、鉱物、遺伝子、放射光、粘菌、遺体科学、トレーニングコーチ。
聞いただけでも気が遠くなりそうな、ものすごく複雑で超理系の世界・・・。
でもそんな未知の世界も、一つ一つ掘り進めていくとどんどん興味がわいてくるから不思議です。
研究者は人間嫌いだとか変わり者が多いとかよく言われますが、少なくともこの本に登場する方々は我々と変わらない普通の感性をもった人間です。
そしてとにかくみなさん自らの研究対象へ注ぐ愛がすごい。
そのことを如実に物語っているシーンがあります。鉱物の研究者、堀秀道先生についてです。
途中、お茶と笹団子を出して下さった奥様を拝見した時から、ずっと気になっていたことを質問した。婚約指輪には何の宝石を選ばれたのだろうか。
「トパーズです。自分で採ったトパーズです」
有名宝石店で何カラットもするダイヤを買える男の人は、大勢いる。しかし愛する女性のため、自ら大地に出掛け、ハンマーを振るい、トパーズを採取できる人が、世界に何人いるだろうか。私ならすぐにイエスと返事をしてしまうに違いない。こんなにもロマンティックな婚約指輪の贈り方は、他にないだろう。
すごいですよね。奥様への愛はもちろんのこと、鉱物への愛もハンパじゃない。
一つのテーマに自分のすべてをかけて打ち込むことができる人ってほんと輝いてるし、ただただ「すごい」という言葉しか出てこないです。
こうした方々の活躍によってどんどん科学が進んでいくと同時に、また新たな科学からの挑戦状もあったりして、科学というのは果てしない世界なんだなぁと思わずにはいられません。
生きものの身体が原子でできているように、宇宙のすべてもまた原子から成り立っています。だから地球に住んでいる我々人間を含むすべての生命体が「宇宙人」なんですよね。
科学って、夢とロマンの詰まった宝箱みたいな世界なんだなぁと思います。
偉大で不思議に満ちたそんな科学の世界を、この一冊で堪能することができます。
ちなみに、この本の7つ目の分野「トレーニングコーチ」では、元阪神タイガースのプロ野球選手だった続木敏之さんとの対話について書かれています。
科学を知らなくても、野球なら知っている!
そんなところから、科学への興味の扉は開かれるのかもしれません。